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BREEZE, BREEZE, BREEZE, BREEZE. A NICE WIND IS BLOWING TODAY, TOO.

びゅー、さらさらさら。今日もいい風が吹いておるのぉ。
ふぉっふぉっふ。若いの、どこを見ておる。上じゃよ、上。
そう、わしは木。お前さんの目の前にいる、大きなイチョウの木じゃ。
最近よくここに遊びに来ているようじゃが、今日はなにやら浮かない顔をしておるのぉ。
さては友達とケンカでもしたんじゃな。ふぉっふぉ。
わしが何百年もの間、この街と人間を眺めていると思っておる。なんだってお見通しじゃわい。
だが数年前、実はわしは切り倒されそうになったことがあってな。それはそれは大変じゃった。
そのピンチを乗り越えたとき、ここは椿森コムナとして生まれ変わったのじゃ。
ふぉっふぉ。お前さん、暇なんじゃったらここはひとつ、わしの暇潰しに付き合っとくれ。
なぁに、損はさせんよ。若い時の苦労と年寄りの話は、いつか役に立つと言うからのぉ。

バラバラなやつらが、
同じ夢を目指した。

A GROUP OF DISPARATE PEOPLE ALL AIMING
FOR THE SAME DREAM.

この場所は、椿森コムナ。お前さんも知ってる通り、ツリーハウスやグランピングデッキ、キッチンカーが非日常感を作り出す、街のコミュニティスペースじゃ。だが実は少し前までは、老朽化した平屋とプレハブの工場がある場所でのぉ。ほとんど誰も近寄らないところじゃったから、ずいぶん寂しい思いをしたものじゃ。この街に住んでいる人たちにとっても、そんな場所があるのは悲しい。そこで動き出したのが、ほれ、そこにおる拓匠開発というやつらじゃ。「この木を使ってツリーハウスを作ろう!」と言い出したんじゃ。わしの鍛え上げた“美ぼでぃ”に目をつけたんじゃから、たいしたやつらじゃわい。ふぉっふぉっふぉ。しかしなぁ、ツリーハウスをどう活かすのかが難しいようで、やれ保育園にしようか、やれペットサロンにしようかとか、散々悩んでおったわ。そんな時に、海外で出会ったコミュニティースペースにヒントを得て、そんな人が集まる場所を作ろうとなったんじゃ。

ただ、それまでのやつらはまだまだ土木建築が中心。コミュニティースペースなんて、誰も作ったことがない。だからこのPJに集まったのは、異色でヘンなやつらだったんじゃ。星野というのはFMラジオ局の立ち上げ経験者だったり、村上というやつは家具職人から入社して、なぜか長野の山に送り込まれてツリーハウスを作り上げたやつで、湯浅というのは元化粧品会社のマーケティング責任者。そんなてんでバラバラなやつらが「こんなものがあったら、きっと楽しい」と同じビジョンに向かって力を合わせ、作り上げたのが椿森コムナなのじゃ。割と評判も良くての。グッドデザイン賞や千葉市都市文化賞なんかも受賞して、権威ある建築家からは「君たちはこれまでの日本にないものを作った」と褒められたみたいじゃ。わしにとっても、人が集まるようになって嬉しいし、なによりも切られずに済んだから一安心じゃ。今思い返しても樹液、いや、冷や汗が止まらんわい。

人に愛される場所。
そこには、“本能”がある。
人に愛される場所。 そこには、“本能”がある。

A PLACE WHERE PEOPLE LOVE YOU.
THERE IS “INSTINCT”.

そうしてオープンしたんじゃが、天候や季節によって客足が安定せずでのぉ。イベントをやって人を集めようと、手をかえ品をかえて試行錯誤していったんじゃ。でも、それまで人を集めたことなんてなかったから、前例やノウハウもない。人が集まるようになっても、収益につながらない。人間というものはいろいろ考えんといけんようで、本当に面倒な生き物じゃのう。そんなときに追い討ちをかけたのが、あの新型コロナじゃ。街の飲食店と同様に、ここも打撃を受けてのぅ。いよいよダメかもしれないとなったとき、「あれ、アウトドアのBBQならアリなんじゃない?」と言い出してのぉ。まったく、転んでもタダでは起きないやつらじゃ。まあ、わしはどっしり根を張っているから、転ぶことはないがのぉ。びゅー、さらさらさら。

・・・うぉっふぉん!さて、ここで活躍したのが阪本という男じゃ。やつは元々他のところで飲食事業をやっていたようで、その手腕を存分に振るっておった。密が避けられて屋外でBBQが楽しめるときたもんじゃから、見事に予約が殺到したんじゃ。この人気と収益が上がったタイミングで、なんとリニューアルに踏み切った。世の中はまだまだ逆境のときだから、本当におかしな連中じゃわい。でもコロナの中で、営業を止めなかったのが功を奏したようじゃ。外に出られず、ストレスを抱える中で、密を避けて遊べるこの場所が、家族や子どもたちの憩いの場となった。やつらはよく「本能に、感動を。」と言っているが、たしかにそうじゃな。誰だって外に出たい。思いっきり走り回りたい。誰かと一緒にご飯を食べたい。笑い合いたい。それが人間の本能じゃ。椿森コムナは、その拠り所になれたのかもしれんのぉ。

ビジョンをカタチに。
その下に、夢見る人が集まる。
ビジョンをカタチに。 その下に、夢見る人が集まる。

SHAPE YOUR VISION.
DREAMERS GATHER UNDER THE VISION.

実はここだけの話、この椿森コムナは幾度となく行政と戦ってきた歴史があるのじゃ。ツリーハウスは危ないからと注意も受けたし、これまでにないものじゃから、役所が扱いに困るのも当然。でも、専用金具を本場アメリカから輸入するなど安全対策を十分にやったこともあり、完成してからは街の人からはすごく愛され、賞を獲って認められたりもしたから、口を出しにくくなったんじゃ。家をつくるのではなく、本能が震えるものをつくる。そのビジョンを実現したことで、この場所はやつらの一歩目にしてシンボルになったんじゃ。この場所のおかげで、新しいやつらも次々と集まってきてのぉ。例えば、あのー、あれじゃ。あの子、あれ、なんて言っとったっけなぁ・・・なに?失礼な、まだぼけておらんわ!そう、小川くんじゃ!彼は高校生のときから、よく学校終わりに遊びに来ておってのぉ。ディズニーランドに行くか、椿森コムナに来るか、よく迷っておったわい。「自分の生まれ育った街で、こんな非日常空間があるなんて」と感動していたのが、昨日のことのようじゃ。それがなんといつの間にか拓匠開発の仲間になっていて、これには驚いたのぉ。

椿森コムナは、拓匠開発を表すシンボルになった。ということは、つまりわしは拓匠開発のシンボルといっても過言ではないのじゃ。ふぉっふぉっふぉ。やつらはよく「ちがいを、ちからに」とも言っておるな。ちがうやつらが集まるからこそ、おもろいものが出来上がる。同じような人間を集めたのでは、同じようなものしかできん。それは自然を見ればわかるじゃろ。ここも同じじゃ。さまざまな草花や木、昆虫や鳥たちが集まって、この一つの空間を作り上げとる。自然も、人間も、同じことじゃ。おお、下を見てみぃ。いつもの友達が、お前さんを訪ねにやってきたようじゃ。今度は仲ようするんじゃぞ。「ちがいを、ちからに」じゃぞ。ふぉっふぉっふぉ。

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