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ZAB, ZAB, ZAB ZAB. OH? YOU DON’T LOOK FAMILIAR

ザブ、ザブ、ザブザブザブ。
あら?見ない顔ね。あなたもボートに乗りに来たのかしら?
アタシは池。
地元の方からは「綿打池」って呼ばれているわ。もしかして、この公園に来るのは初めて?
ふふ、そう。なかなかいいところでしょう?駅から近くて、春には桜が咲いたりするから、
恋人たちがアタシのところでボートに乗ったり、子ども連れの家族が気持ちよく散歩したりするのよ。
ポチャン、ザブン。
でも、最近一番の見ものは、YohaSかしらね。ほら、あのボートにも書いてあるでしょう。
これは2018年から始まった、夜のアートフェス。
千葉市のお花であるオオガハスをシンボルにした「大賀ハスまつり」の夜の部として開始したの。
このYohaSが始まってから、この街の雰囲気もだいぶ変わったわ。
あら、失礼。さあ、ボートにお乗りなさい。
素敵な景色とともに、あなたを楽しませてあげるわ。
パシャ、パシャ、バシャン。

目の前の千葉公園を
なんとかしたい。

I WANT TO DO SOMETHING
ABOUT CHIBA PARK IN FRONT OF ME.

今日はいい天気ね。子どもたちも走り回って、のどかでとっても楽しそう。
ほら、向こうにあるドームが見えるかしら?あれはTIPSTAR DOME CHIBAといって、白熱した自転車競技レースが楽しめるのよ。でもね、ちょっと前は少し違っていたの。昔は千葉競輪場といって、戦後の復興に一役買ってくれていたの。だけれど、公営競技場ということもあって、少しずつ治安も悪くなってね。「夜の千葉公園は怖い」って人が近づかなくなったり、公園の周りにあった飲み屋さんもどんどん減っていったわ。シク、シク、ポチャン。

それでも千葉駅から近いということで、住宅地としては活用されていたの。
その結果、駅を中心に、あちらの南側は人が集まる街、アタシのいる北側は遊ぶところのない住宅街という住み分けになっていったの。そんなときだわ。千葉市が“ナイトタイムエコノミー”という施策を打ち出そうとしたの。これは夜の活動を通じて、地域の魅力や文化を発信すること。東京や福岡、ロンドンなどの大都市でも行われているのよ。そこで千葉市と関わりのある有識者たちが集められたのだけれど、そこにいたのが拓匠開発という会社だったのよ。拓匠開発のことはよく知ってるわ。だって昔からずっと、アタシの目の前で働いている人たちだもの。彼らは言ったわ。「そんなことよりも、千葉公園をどうにかしましょうよ」って。あの人たち、アタシの魅力とポテンシャルに気づいていたみたい。

うふふ、嬉しいわぁ。それから「じゃあ大賀ハスまつりで何かやろう!」って話になったの。これがYohaSが始まるきっかけよ。

10年続く祭りを。
その土台を、自分が作る。
10年続く祭りを。 その土台を、自分が作る。

A FESTIVAL THAT WILL LAST FOR 10 YEARS.
I WILL CREATE THE FOUNDATION FOR IT.

「分りました。やりましょう!」
なんて威勢のいいことを言ったけれど、彼らは土地開発や不動産の会社。お祭りのイベントなんかやったことないから、とっても苦労していたわ。特に最初に担当していた、石倉くんっていう子なんか、毎日汗だくになりながらアタシの周りを走り回っていたわ。「こういうのができたら面白いね」「いいね、いいね!」なんて始まるのだけれど、初めてのことばかりでなにをしてもトラブルが出るの。例えば、アタシの上に水上ステージを作ろうとしてもアタシが深すぎて建てるのは厳しかったり、プロジェクションマッピングで映像を映そうとしてもうまく映らなかったり。アタシのこと、まだ分かってなかったのね。失礼しちゃうわ。ジャバ、ジャバ、ジャブーン。

それでも彼ら、諦めずに試行錯誤を繰り返していたわ。建てるのはお金がかかるからって、海の工事で使うフロートを何枚も借りてきて、ステージとして浮かべたときは思わず感心したわ。やったことないことでも、自分達の特技を活かして解決していったの。そんな彼らの熱が周りにも伝わったのかしら。行政や街の人にもだんだん応援してくれるようになってね。おもしろいのよ。近くに住む、少し気難しいおじちゃんがいて、公園事務所の人が「みなさんも気をつけてくださいね」なんて言われていたのに、いつの間にか仲良くなって、一緒にお酒を飲んでいたのよ。石倉くんはずっと大変そうだったけど「これを10年間続く祭りにする。自分がその土台を作るんだ」って踏ん張っていたわ。もう。アタシ、こういう子をみると、応援したくなっちゃうわ。ポッ、チャン。

自分たちのお祭りから、
千葉市みんなのお祭りに。
自分たちのお祭りから、 千葉市みんなのお祭りに。

FROM A FESTIVAL FOR OURSELVES,
TO A FESTIVAL FOR EVERYONE IN CHIBA CITY.

そうして1年目はなんと大成功。
ああ、今でも覚えているわ。若いカップルがこの会場に来て「うわ、本気じゃん!」って言ったこと。アタシのポテンシャルを活かしながら、今までにない一流の価値を届ける。まさに目指していたことが実現した瞬間だった。もう最高よ!ザブン、ザブン!あら、波を立てちゃってごめんなさいね。イベントが終わって千葉公園から駅に向かっていく人たちの楽しそうな笑顔が、アタシはなによりも嬉しいの。今では5年も続く千葉市を代表するお祭りの一つになっているわ。

ただ、当の本人たちは、まだまだ大変そう。
だって彼らは、「同じことをしちゃダメ」っていう変な暗黙のルールがあるのだもの。今、YohaSを任されている鬼頭くんという若い子は、なんと新卒1年目から運営リーダーをしているの。インターンの時から拓匠開発に関わっていて、大学時代に鍛えたスキルを活かしてイベントを仕切ってる、イベント番長なのよ。若いのに、よく頑張っているわ。彼らには年齢なんて関係なくて、筋が通った意見があって、礼儀礼節があれば任せる。そんな環境が、若者を育てているのね。いま、YohaSの認知度も上がって、来場者数も右肩上がり。アーティストや協賛企業といった関係者も増えているわ。彼らは言っているわ。「もう自分達だけのものじゃない。千葉市民のお祭りなんです」って。ことあるごとに、「千葉公園を盛り上げたい」と行動し続けた彼らだからこそ、それが現実になっていった気がするわ。ああ、今年はアタシのどんな魅力が届けられるのかしら!

さあ、もうすぐボートの時間も終わりよ。
6月にまたいらっしゃい。アタシの素敵な姿を、お楽しみにね。

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