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WELCOME TO THE COOL PLAYGROUND.

ようこそ、イカした遊び場へ。
オレの名前は『the RECORDS』。千葉公園の隣にある5階建ての複合商業施設だ。
ちょっと前までは『パークサイドホテル』って名乗っていて、ホテル業をやっていたんだ。
今はダイナーやベーカリーなどがある1〜2階の飲食スペース、
そして3〜4階には拓匠開発っていうヤツらのオフィスが入ってる。
ホテルから今の形に変わる時に、ちょっとばかし手伝ってもらったんだ。
今じゃすっかりマブダチさ。アツいヤツらでね。
『ネバーランド構想』なんていう、でっかい夢を掲げているんだ。
どうだい、気になるだろう?いいよ、遊びに来たついでに教えてやるよ。
え、最上階には何があるのかって?そいつはどうかな。
ま、ちょっと付き合ってくれよ。

壊して作るより、
今ある価値を。

RATHER THAN TEAR DOWN AND BUILD,
VALUE WHAT YOU HAVE.

オレがこの地に建ったのは、もうかれこれ30年以上前だったな。
当時はホテル業をやっていて、隣は千葉公園だから、自然もあって静かに過ごせるなんて言って、そこそこ人気もあったんだよ。でも、歳ってのはイヤだね。老朽化ってやつで、だんだん難しくなってね。悲しいことに売りに出されちまったワケなんだが、そこに追い討ちをかけたのがコロナ禍ってやつさ。業界的にも大きな打撃があって、先行きは真っ暗。そんな中で、オレを買うって手を挙げたヤツらが出てきた。その中の一つが、拓匠開発だったんだ。先陣を切ったのは、石𣘺って男でさ。「ここを活かすのはウチしかないですよ!」なんて大見得を切ってたよ。本当は別の会社が買う予定だったけど、契約直前で延期になってね。売主が「やっぱり拓匠さんで」ってなったんだ。話を聞いてみると、ヤツらにはこういう逆転劇っていうのがたくさんあるんだってさ。もしかしたら、最後まで諦めない姿勢が、運を味方にするのかもな。今じゃ「この建物も、拓匠開発に買われることを望んでたのかも」なんて言っててよ。まいっちゃうぜ。

でもそういうところ、キライじゃないぜ。そうして購入に至ったわけだけど、じゃあ実際何しよう、って話になったんだ。実は全部壊して、全く新しい建物を建てるって話もあったよ。まあそっちの方がラクだし、トータル的に考えれば安いからね。でも安易に壊して創るよりも、今ある価値を活かした方がいいんじゃないかって。それで全面改装するコンバージョンでやってみようってなったんだ。お、ちゃんと俺の価値を分かってるじゃないか。そう思ったね。

世の中に、
仕事でハイタッチできる大人が
どれだけいるか。
世の中に、 仕事でハイタッチできる大人が どれだけいるか。

HOW MANY ADULTS IN THE WORLD
CAN GIVE A HIGH-FIVE AT WORK?

その時くらいかな。彼らの中で『ネバーランド構想』なんていう言葉が出始めた。
これは千葉公園を中心に、このエリアをもっと楽しく、ワクワクするようなものにしていこうってプロジェクトなんだ。東京は遊ぶところで、千葉は寝るところ。そんな現状に違和感を持っていたみたいで、もっと地元に誇りをもたらそうって考えたみたいだ。「そうだ、俺たちはネバーランドを創るんだ!」なんて言い始めてさ。そういえば、近くの『コムナ』や千葉公園でやってる『YohaS』とか、なんだか最近やけに街が騒がしいなって思ってたんだ。今まで点でやってきたことが、線で繋がったみたいだな。

でもオレを再構築しようとした時、何度も壁にぶち当たっててさ。
進んだと思ったら問題が出て、また振り出しに戻って。その繰り返しで、大変そうだったよ。そんな時でも、この『ネバーランド構想』があったから、頑張れたみたいなんだ。「こんなところでつまづいているわけにはいかない」なんて言ってたね。完成した後、売主は「拓匠さんだから素敵なものができた」って褒めてたさ。彼らの仕事は、どれも熱いんだ。終わった後に、「よく頑張ったな」「お前こそ」なんて言って、ハイタッチして、ハグして、涙なんか浮かべてさ。いい大人なのに、笑っちゃうだろ?でも、世の中にそんな仕事ができる大人たちが、一体どれほどいるんだろうね。青春時代みたいに、夢中で挑む。もしかしたら、創っているあいつらこそ、ネバーランドの最初の住人なのかもしれないな。

夢は終わらない。
だからずっと、未完成。
夢は終わらない。 だからずっと、未完成。

THE DREAM NEVER ENDS.
SO LONG, UNFINISHED.

このプロジェクトには佐藤っていう若い子が参加してるんだけど、彼女はまさにここが地元なんだ。
彼女はこう言ってたよ。「自分が育った街に、負の遺産があるのが悲しい」って。たしかにそうかもしれないな。街が、時代から取り残されていく。それは住んでいる人だって、そして建物だって、寂しいもんだよ。「この街に住んでよかったって言える人を増やしたい」。そんな風にも言っててさ。頭が下がるよ、まったく。そうして俺はこの街の生き証人、『the RECORDS』として生まれ変わったけど、これは『ネバーランド構想』の中ではまだ一歩目。これからどんどん加速していくみたいだ。

石𣘺はこうも話していたよ。
「このプロジェクトは終わらない。終わらせちゃいけない。人も社会も変わっていく。変化を止めたら負の遺産になる。だから時代に合わせて変化させていくんだ」って。きっとあいつらは、この先もずっと夢を見続けるんだろうな。終わらない青春時代、それがネバーランドってわけだ。どうだい?少しは俺や彼らのことが伝わっていれば嬉しいね。え?結局、最上階には何があるのかって?そいつは次回のお楽しみだよ。青春時代が忘れられないなら、また遊びに来いよ。ここはネバーランドだからさ。

{ OTHER_projectstory }